生命体としての組織のデザイン

OPEN VUILD #2

建築テック系スタートアップVUILD(ヴィルド)株式会社。2017年の立ち上げ以降、既存の価値観に問いを投げかけながら、未来社会のあるべき姿を模索しています。

 

「OPEN VUILD」は、そんな日々の活動から浮かび上がる様々な経営課題や組織としてのあり方について、専門家とともにオープンな場で語り合う実験的な試みです。

 

第2回は、VUILDの外部パートナーであり、デザイン思考による企業の組織変革に取り組む株式会社BIOTOPE(ビオトープ)代表・佐宗邦威さんをゲストに迎え、「生命体としての組織のデザイン」について考えたいと思います。

 

メンバーが自律性と主体性を保ちながら、それぞれの理想とする働き方を実現するには、どのような組織の形が望ましいのか? 既成の価値観にとらわれず、新しい働き方を実践するBIOTOPEとVUILDの2社の実例をもとに、その答えを探っていきます。

 

 

VUILD と BIOTOPE、自律分散型組織が取り組んでいること

秋吉 VUILD では、社内に不足している知識やリソースを社外の専門家とのパートナーシップによって補いながら共に成長していく「外部パートナー制」を導入しています。今日のゲストである佐宗さんも、そんな外部パートナーの一人です。

 

佐宗 株式会社BIOTOPE 代表の佐宗と申します。BIOTOPE は、「戦略デザインファーム」と行って、様々な企業に対して前例のない未来創造のプロジェクト、いわゆる、イノベーションを支援するデザインコンサルティングを事業として手がけています。

秋吉くんは僕らの外部パートナーでもあり、かなり近い世界観を持っていると感じているので、今日はふだんあまり語らないようなレイヤーの話もどんどんしていけたらと思っています。

 

秋吉 それではまず、お互いの会社の事業内容について簡単に紹介したいと思います。

VUILD は2017年11月に立ち上がったばかりの建築系スタートアップです。建築や家具の部材を機械加工するための設備の導入コストは、現在では20年前の10分の1程度(約500万円)になりました。そういう時代に最もバリューを発揮できるのは、森林資源が豊富な中山間地域で素材(木材)を生産しているエリアの人たちです。僕らは加工機の販売だけでなく、高度なデザインを簡単に行うことのできるツールや、研修プログラムも同時に提供して、彼らが自分たちの力で直接ユーザーにプロダクトを提供できる仕組みづくりに取り組んでいます。

つまり、一部のプロだけの特権的な職能だった建築や家具づくりを “民主化”すること。そして、誰もがつくりたいものを自らつくれる暮らし方を実現すること。それが僕たちVUILDのビジョンです。

 

佐宗 BIOTOPE のタグラインは「らしく なる」という言葉を使っています。創造プロセスのデザインを通じて、一人一人が持っているイマジネーション(想像力)の具体化を支援することで、結果的に企業のらしさを作り、より良い循環を作る状態に導いていく、という漢方のような思想が根底にあります。

デザインコンサルティングとは、そういう個の変化を組織全体、やがては社会全体へとスピーディに波及させるレバレッジになる場です。つまりBIOTOPEは、いろいろな会社が協働して新しい価値を生んでいく媒介としての場づくりを推進している会社といえます。現在は、まだオープンな場にはなっていませんが、将来的には企業間を横断した社会に大して意義のあるものを生み出していく場を作っていくことも視野に入れています。

「理想の状態を自分たちで定義し、そこに至る道筋をつくり出すこと=ビジネス戦略」と「見えないものに形を与え、進むべき道を可視化すること=デザイン」を融合しながら、様々な企業の組織づくりをサポートしています。

具体的な事例を紹介しましょう。2年前から支援させていただいているクックパッド株式会社のケースです。

当時のクックパッドは、事業の多角化による成長路線を転換し、「毎日の料理を楽しみにする」という理念に立ち戻るタイミングでした。

サポートに入った僕らは、まず創業者や経営陣のビジョンを引き出してストーリー化し、料理や食がどのように社会課題を解決できるのかをシステムとして可視化。それらを土台に、社内研修などを通じて全社にビジョンを伝えながら、社員の意識改革を促していきました。

さらに、食による課題解決を目指す社内外向けワークショップ(クックパッド大学)を立ち上げ、ユーザーや有識者を巻き込みながら「オープン型組織への変革」を加速させています。

BIOTOPEでは、こうした一連のプロセスを支援しています。

他にもいろいろな事例がありますが、ビジョンデザインやブランドデザイン、コンセプトデザインと同時に、組織改革をしていくのが僕たちの役割。そして、サポート後もクライアント自身の方法論やプロセスがしっかり残っていく、という視点を大事に活動しています。

 

 

自己組織化する「ティール組織」とは何か?

 

秋吉 では、ここから本題に入ります。今、マネジメントの分野で話題になっている『ティール組織』という書籍について。

僕自身は未読ですが、佐宗さんが登壇した出版記念レクチャに参加して、僕なりに理解したことをシェアしたいと思います。

これは、メモした内容を1枚にまとめたものです。

まず理解したのは、社会の変化とともに組織論も変わっていくということ。効率的な生産管理を目的とした従来の組織像から、自律的な個々のメンバーが生命体のように自己組織化する新しい組織像(ティール組織)へと変化する中で、個人と組織全体のバランスも問われている。つまり、誰にも管理されない、主体的に行動するメンバーをまとめていくには、組織の存在意義や全体の文脈を明確にすることが大事である、と。

そこで重要になるのが、チーム内でのルールメイキング、スピーディな情報共有とアップデート、そしてそれらのプロセスの徹底した透明化です。じつは「OPEN VUILD」も、そのあたりの文脈共有と可視化を目的に始めた試みです。

一方、自律分散的な組織におけるリーダーの役割は、コミュニティの温度をあげ、それぞれのメンバーの役割を明確にし、組織に命を吹き込むこと。レクチャーで、佐宗さんは「公益性にエゴを消す」というような言い方をしていました。ティール組織をデザインしていくには、強い信頼関係をベースに、社会の公器を目指していくのが有効なんじゃないか、と。経営者の立場としてはその言葉がすごく印象に残りました。

現状、VUILD は勤務場所や契約体系に統一のルールはなくて、メンバーもエンジニアからデザイナー、バックオフィス、林業関係者や職人まで、幅広い人々が互いに能力を補完しあって成り立っている組織です。そういう状況で、企業として利益を追求しながら、生命体としての組織をどう成立させていくか。ドラクエで言えば、生命体としての組織のヒットポイント(キャッシュ)とマジックポイント(モチベーション)をどう生かすかがこれからの課題かな、と。

それで、とりあえずこのメモをSlackでメンバー全員に共有しました。

 

佐宗 なるほど。(会場にいるVUILDのメンバーに向かって)このメモを見て、どんな印象を受けましたか?

 

濱中 そうですね、彼は何かを「つかむ」のが早いと思いますね。

 

佐宗 「つかむ」のが早い、と。面白いですね。

 

濱中 読んでいない本のことを、ここまで皆が理解できる形に落とし込めるところですね。メモを見て、なぜ秋吉くんより18歳も年上の自分がVUILD にジョインしようと思ったのか、腑に落ちました。自律した個人が主体的に動く組織って、もはや立場や年齢といった概念も超えているじゃないですか。その点に強く共感しましたね。

 

秋吉 濱中さんは、建築士としてごく初期からプログラミングや3Dプリンターを使い始めたレジェンド的な存在で、VUILD の活動を支える重要なメンバーの一人です。

ちなみに、VUILD のオフィスには濱中さんが持ってきた「Think Different」のポスターが貼ってあるのですが、VUILD のメンバーにはインターネット的な自律分散型の世界観を理想とする「Think Different なくせ者」が集まっている気がします。

 

佐宗 秋吉くんは、僕の中では「ニュータイプの起業家」という感じがするんですよ。1980年代にMITメディアラボが唱えたオープンイノベーション的世界観や、スティーブ・ジョブズが掲げた「Think Different」という思想が、すでに日常化されてきた今の状況を見ると、彼のような起業家の登場は社会の正常な進化にも見えるけれど、それだけじゃないような気がして。

 

秋吉 僕は集団行動や型にはめられることが大嫌いなんですよね。と言うのも、通っていた小学校がちょっと特殊な環境で。公立の学校でしたが、廊下や教室を隔てる壁がなく、出入り自由。裏庭の田んぼを耕したり、勝手に小屋を建てたりしてもいいんです。そこで僕たちは、ひょうたん池というビオトープ(生物生息空間)をつくりました。

 

佐宗 ガチのBIOTOPE をつくっていたわけですね。

 

秋吉 中学・高校は、打って変わって拘束の厳しい進学校に進み、軍隊生活のような環境にすごく抵抗感を覚えました。その後、大学でインターネットやテクノロジーの進化が個人をエンパワメントしていく状況に直面して、個人が自律して世界につながり、主体的に生きていく未来に可能性を感じました。僕が今、VUILD で自律分散型の組織づくりを目指しているのは、そういう原体験があるからなんです。

 

佐宗 秋吉くんの幼少時代の教育環境は、一人一人の自律的な学習環境を作るという教育哲学を掲げている「モンテッソーリ教育」に通じるものがあるなと思いました。Google創業者のラリー・ページとセルゲイ・ブリン、Amazon創業者のジェフ・ベゾスなど、時代を代表する起業家の多くがモンテッソーリ・スクールの出身者です。

モンテッソーリ教育は、子ども自身が自ら学び取るプロセスを通じて自律性を育む教育法です。そういう自律的な教育環境で育った人たちが、インターネットによる創造性の民主化の広がりによって成長の機会の支援をされて、第一世代として今の時代をつくっている、と。

これまでのヒエラルキー型社会では、ある種のマウンティングでパワーを行使する経営スタイルが主流だったのが、そういう起業家たちの登場や時代の変化とともに、うまく機能しなくなってきた。秋吉くんは、そこを無意識に感じ取って、新しい組織づくりを目指しているという印象を受けます。

さきほど「エゴを消す」という話が出ましたが、僕はエゴを全て消す必要はないと思っています。最終的に、(経営者の)エゴを社会にとって良い文脈として社内外に敷衍させていければ、自然に(公器としての)良いサイクルが循環しだすのかなと思いました。

 

 

自律分散型組織に立ちはだかる「雇用契約」の壁

 

秋吉 VUILD の組織づくりで今、課題になっているのが、メンバーとの雇用契約のあり方です。

最近では、すべて業務委託契約にして社員を一人も雇わない組織も増えてきています。僕自身は、業務委託も裁量労働制も単なる手法にすぎず、個人が主体的に実感を伴って働ければ何でもいいと思っていますが、BIOTOPE ではメンバーの雇用形態についてどう考えていますか?

 

佐宗 現状の労働法では、正規雇用した場合、経営者は必ず社員の管理責任を負わなければなりません。社員の労働時間も、正確にチェックする必要があります。そのため、働き方改革に力を入れるサイボウズ株式会社は、多様なメニューを用意した上で裁量労働制を採用しているそうです。

自由な働き方とフルタイム雇用を両立しようとすると、裁量労働制は回避できない。しかし、裁量労働制では、適用できる業種が限られてしまう。VUILD のように、デザイナーや建築士など裁量労働制の対象となるメンバーが多い企業でなら成立するけれど、コンサルタントやエンジニアといった職種が多い企業にとっては簡単ではない実情がある。

悩ましい問題ですが、「3ヶ月働いて1ヶ月休む」といった働き方を本気で実現するには、業務委託しか選択肢がないのが現状です。

一方、BIOTOPE で実際に業務委託制を一部導入してみた結果、採用面でもメンバーのパフォーマンス面でも良い効果を感じているというのが正直なところです。自立性の高いメンバーには業務委託型のハイリスクハイリターン型の勤務形態が合い、コミット度合いの高く、一方でスキルを伸ばしていく成長過程のメンバーには正社員もしくは契約社員型のミドルリスクミドルリターン型の勤務体系が合うのかもしれないと思っています。厚生年金や健康保険という課題はありつつも、インディペンデントなパートナーシップは、メンバーの自律性や業務へのモチベーションを高めるという点ではむしろ積極的に検討されてしかるべき選択肢かな、と感じています。

 

秋吉 専門性を持たない人や職歴のない新卒者が業務委託でハイパフォーマンスを発揮できるのか、という点にも課題が残りますよね。

それはさておき、VUILD 的ティールを実践してみて課題も浮かび上がっています。例えば、メンバーを成果のみでグリップしている以上、工房の掃除とかメンテナンスといった部分を手伝ってもらえない、とか。そもそも、業務横断的なプロジェクトが多いため、一概に成果を測れないという問題もある。

諸々検討した結果、裁量労働制の社員も業務委託の人も、プロジェクトベースで働いてもらって、プロジェクト単位で評価するという形をとっています。ただし、プロジェクトを立ち上げたり、ファシリテートする存在として、裁量労働制の社員にインセンティブを持たせています。

 

佐宗 BIOTOPE では、組織へのコミットメント度合いによって、業務委託のメンバーも戦略や組織マネジメントのミーティングに参加してもらっています。要は、生命体である組織の「目」や「手」を担えるビジョンを持っている人ですね。

フルタイム雇用と業務委託というメニューを用意して、それぞれの状況やスキルに合わせてインセンティブや働く環境をデザインする。それが現状の最適解だと思っています。

むしろ、課題を感じるのは法的な部分を含めたオーナーシップをどうするか、という点ですね。自立分散型のティール組織を目指すなら、オーナーシップも分散させた方がいいのか。そこが悩みどころです。

 

秋吉 オーナーシップに絡めて言うと、建築の世界では基本的に、マスターアーキテクトの名前しか表に出ないんです。でも、実際には、一つの建築をつくるために施工者や職人など、大勢の人が関わっている。僕はそれらの領域に、それぞれの職責=オーナーシップがあると思っていて。

デジタルファブリケーションを含むデジタル技術が、多様なコラボレーションののりしろを広げている今、企画に関与するメンバーそれぞれのオーナーシップを明記する仕組み、例えばブロックチェーンを使った記録管理システムみたいなものがあれば、もっと職域やプロジェクトの幅が広がるような気がしています。

もちろん、オーナーシップが分散化しても、最終的な建築物のオーナーシップを持つ人(マスターアーキテクト)の責任が分散するわけではありません。そこは、生命体としての企業のヒットポイント、つまりブランディングやクオリティの担保に直結する重要な部分でもある。マウンティングするつもりはないけれど、その点は厳しくやっていきたいな、と。

 

佐宗 とてもよくわかります。プロジェクトにおいて誰がどのように貢献したのかを記録したり、権利関係をクリアにしたりするという意味では、クリエイティブワークとブロックチェーンってすごく相性がいいと思うんですね。VUILD のように、メンバーの専門領域がクリアに分かれている組織は、とくに親和性が高いと思う。

一方、BIOTOPE の場合はちょっと複雑で。専門職のメンバーは多いけれど、プロジェクトごとにその役割が変動することがよくあるんですね。そのため今は、可変的にルールデザインできるプラットフォームのようなものの構築を目下、模索中です。

 

 

副業は新たな視点を組織に還元するエコシステム

秋吉 ちなみにVUILD の組織図のこの部分、赤字で書いてあるのは「既存の専門分野以外で新しい専門性をつくりなさい」ということを言っています。そういう意味で、副業はめちゃくちゃ推進していますね。

 

佐宗 副業を応援しているんですね。

 

秋吉 今の副業解禁の流れって、単に解禁しただけで「なぜ副業を推進するのか」というビジョンがないじゃないですか。

VUILD を組織運営する上で、僕が参考にした考え方の一つに、宮大工の第一人者である小川三夫が書いた『不揃いの木を組む』という本があります。タイトルそのままなのですが、不揃いであることを個性ととらえ、それぞれの個体差を複雑なまま生かしていく、そういう組織の方が働いていて楽しいなと思っていて。

規格化された木材を組むのは簡単だけど、面白いものは生まれにくい。一方、独自の個性を持った、全く違う領域の人たちが、共通言語をつくりながら日々研究していくと、新しい視点や広がりがもっと生まれると思うんです。

僕自身、建築やデジタルファブリケーション、木構造の研究とそれぞれ異なる領域で複眼的に活動しているからこそ、今のポジショニングや未来予測が自分なりにできてきていると思っていて。だから、それぞれのメンバーがVUILD 以外の場所で活動し、学び得たことをVUILD に還元しながら、組織としての生命力を高めていく。そういう循環をつくっていきたいな、と。

例えば、VUILD のメンバーの黒部くんは、デザイナーだけでなく写真家も兼任しています。設計をやっていたからこそ見えてきた建築と写真の関係性について修士設計をやっています。そういうサブのスキルがあれば、写真家の視点による建築のディテール部分の設計など、相互に生かすことができます。

また、高知県在住のメンバーの森川さんは、大学時代にミシンの研究をしていたんです。僕らが扱うShopbot は、木材をミシンのように扱う機材でもあるので、ミシンをメタ的に捉えて建築に還元できる知見を持つ彼女のことは、すごく評価しています。

 

佐宗 メタ的な視点で言うと、統合型の新しい産業をつくろうとしている人たちには、それぞれのルーツやバックグラウンドを再構築する場所が必要なんですね。だからこそ、VUILD にはそういう人材が集まってくるし、自律分散的な組織が自然に成立する。

ただし、VUILD がそういう場になり得ているのは、前提としてVUILD という組織自体が新しい産業の再構築に取り組んでいるからなんです。そこは理解しておかないといけない。つまり、ふつうの会社が「ティール組織になりましょう」と言ったところで、すぐに実現できるわけではないんです。

僕の場合は、戦略コンサルティングとデザイン会社の中間領域のエコシステムをつくろうとしているから、そこに必要な顔が何かという視点で考えます。だからメンバーを採用するときは、専門性の有無よりも、組織のエコシステムの完成度にどれだけ貢献してくれそうか、という部分を見ています。

 

秋吉 僕は「メタ的な思考」を持つことが、世の中を変えていく最も重要なファクターではないかと思っていて。そういうメタ的な発想は、例えばいつもいる場所から移動して様々な地域にどっぷり浸かってみたり、副業することで専門性を移動させたりすることで身についていくのかな、と。

だからこそVUILD では、多様な人をオープンに巻き込んでいくために、職能を解放して組織に「余白」をつくっていくことを企業理念の一つに掲げています。

 

 

組織の「自律性」と「全体性」の両立に必要な条件

 

佐宗 結局のところ、ティール型組織とは、どんな要素から構成されているのか。個人、組織運営の哲学、組織運営のあり方(企業活動)というそれぞれのレイヤーについて、僕なりにまとめたことをシェアしたいと思います。

まず、ティール型組織の前提として、自立した個人、自律を志向する組織哲学、自律分散型組織独自の活動という要素に別れると思いました。

個人に必要な要素としては、社会意識や社会意義を大事にすることを前提に、個人と組織の目的をすり合わせたいという意欲、共通のパターンを見られる力や、見えないもののつながりを見える力です。

ティール組織は、常に変化し続けることを前提にしているので、物事を今起こっている事象だけではなく、その背後にあるコンテクストをメタ的に捉えられないと、組織として何が正しいかという全体の判断ができません。社内にこういうことを無意識に考えられるカルチャーが醸成されなければ、ティール組織は成立しないでしょう。

組織に必要なものとしては、「自主経営」「全体性」「進化し続ける目的」の3つを挙げています。この「進化し続ける目的」というのがポイントで。なぜなら目的は、揺らぎを持つ個々人が自己組織化しながら組織のあるべき姿を何となく認知したり、言語化していくもので、常に進化する。そういう状態があるから、自律性と全体性を両立するわけで、目的の進化は不可欠なんです。

運営のところで言えば、採用活動が一番大事だと思っています。ティール組織は、社会に対する共通認識や思想という組織固有の目的をベースに運営されているので、そこが共有できない人は、組織と徹底的に馴染まない。だから、組織としての目的や思想をしっかり発信し、共鳴する人だけを仲間にするプロセスをデザインすることが非常に大事なんです。

地理を超えたコミュニケーションを可能にするZoom やSlack の導入、そしてGoogleドライブなどを活用して各メンバーの動きを可視化する努力も、自律分散型の組織運営には必要不可欠ですね。

BIOTOPE では、特別なアジェンダを設けず、ライブで課題を出し合ってその場で解決していくガバナンス(組織デザイン)や、自分の過去の活動をシェアするストーリーテリングを定期的に実施しています。こういう取り組みも組織力の向上につながると思っています。

人数が増えてきたときに重要になるのが、これらの思想をルーティンに落とす仕組み化、ルールデザインです。ファイナンスの部分に書いてある「就業規則」や「業務委託契約」などのリデザインです。ティール組織においては、一元的に管理されているわけではないメンバーそれぞれの業務範囲や成果を正しく評価する仕組みをつくることも、重要なポイントです。

 

秋吉 少なくとも、今VUILDのメンバーにやらなきゃいけないことは、自分たちの持つ専門性を、どうやってボトムアップ型の自律エコシステムに還元していくかということ。

近代化の中で集約され、大規模化・工業化が進んだ建築という領域で、人の営みという実感を失ってしまった社会との距離感をどう再編集していくのか。そこを、ある種のエリート思考と専門性で解決していくことが、逆説的に専門家のエシックス(倫理)や責任だと思っています。。

 

佐宗 そういうクリエイティブエコノミー的な価値観が重視されてきている時代だからこそ、やっぱり人のエネルギーが大事になってきていると思います。人のエネルギーをより促進していくこと自体は、組織開発を中心にノウハウが溜まっているものがあるのでそれを活用するとして、それを大きな組織にスケールさせていく方法論が課題だと思います。ブロックチェーンのような自律分散型の組織を志向する思想、技術との融合から新たな形が生まれてきそうだな、と個人的には感じています。

やや、ハイブローな話ですし、まだまだ試行錯誤をしている家庭ですので、これが正解というわけではないと思います。どれぐらい皆さんのお気持ちの中に入ったのかはわかりませんが、ぜひ感想を聞かせてくれたらうれしいです。今日はどうもありがとうございました。

 

秋吉 どうもありがとうございました。