NESTING岡崎康生町
建主は、岡崎市在住の親子。市街地から中山間地域までを抱える岡崎市において、コミュニティを軸にさまざまなプロジェクトで街の人びとを繋いでいるふたり。家を建てるための材料がどこからきて、どうやって建てられるのかを知りたいという強い思いから、基礎から仕上げまですべて自分たちの手でつくり上げる「NESTING」で建築が始まった。建主自ら森に入って木材の切り出しを体験することや、部材を加工するためのShopBot(CNC加工機)の組み立てにも参加しており、家づくりの周辺プロセスまで積極的に把握しようと熱心であった。また、建主は地域の中での関係性の循環を大切にしており、建物に使う木材は岡崎市産材にこだわり、構造材から仕上げに至るまで無垢材はすべて地産材を使用している。木材加工も市内のShopBotを活用し、建築にあたっては建主の家族だけでなく地域の友人や知人も多く参加し、施工期間の3カ月を通じて延べ80人超が参加。建築を通した関係性の輪を広げていた。基礎はスパイクフレーム工法と呼ばれる単管打ち込み式の方法で、軟弱地盤への対応のため、将来的に地盤が沈下した際に基礎をジャッキアップできる機構を組み込んだ。住宅地にあって、延焼ラインにかかるため、外壁にサイディングを張ることで防火構造を担保。サイディングの上にファサードラタンで仕上げを行うことで温かみのある意匠とした。建築というスケールでつくり手の視点を獲得することが、今回の建主の琴線に触れた。この事実が、職人不足が叫ばれる昨今において、未来への希望のように感じられた。
プロジェクト情報
| 設計 |
村瀬亮 村瀬航平 |
| 設計支援 |
VUILD |
| 施工支援 |
VUILD(担当:加賀谷樹・西村俊貴 )+kotori(担当:今泉順次) |
| 竣工写真 |
Kenya Chiba |
| その他 |
図面の一部に「CAD素材.com」のデータを使用しております |